トラウマ

昔、かなりきつい体験をしたことがありました。
それは、祖父が私に命の大切さを伝えたいからと、豚を飼育し始めたんです。

私は豚を大切に育てることで、命の大切さを教えようと思っているのだと思っていました。
子豚はとても可愛く、私にもなついていました。
まるで犬のように後をついてきていましたし、私が呼べば走って来るようにもなったんです。

ペットといえば犬だと思っていた私ですが、豚がこんなにかわいいなんて思いませんでした。
子豚はあっという間に大きな豚になって、たぶん私以外の人が見れば決して可愛いとは思えないようなビジュアルになりました。

よだれをたらしていて、身体も薄汚れていて、皮もゴワゴワしていて…
でも私は可愛くて可愛くて仕方ありませんでした。
ある日、祖父が私を豚のいる小屋に呼びました。

そして「今夜、食うぞ」って言ったんです。
なにを言っているのかわからなかったのですが、祖父は意味が分からず困惑している私の目の前で豚の命を奪ったんです。
命の大切さを理解する以前に、あまりのショックに私は気絶してしまいました。

本当に今でもトラウマで豚肉を食べられず、鶏肉レシピばかり作っています。